○認知症初期集中支援推進事業実施要綱

平成28年4月1日

訓令第15号

(目的)

第1条 認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けられるために、認知症の人やその家族に早期に関わる「認知症初期集中支援チーム」(以下「支援チーム」という。)を設置し、早期診断・早期対応に向けた支援体制を構築することを目的とする。

(実施主体)

第2条 この事業の実施主体は愛荘町、豊郷町、甲良町及び多賀町(以下「4町」という。)とする。ただし、実施主体は、事業の全部又は一部を適切な事業運営が確保できると4町が認める者(認知症疾患医療センター、病院、診療所等)に委託することができる。

(事業概要)

第3条 次の各号に定める事項について、いずれも実施するものとする。

(1) 実施体制

 支援チームの配置と役割

支援チームは、公益財団法人豊郷病院に配置し、認知症サポート医の指導の下、複数の専門職が家族の訴え等により認知症が疑われる人や認知症の人(以下「訪問支援対象者」という。)及び家族を訪問、観察・評価、家族支援などの初期の支援を包括的・集中的に行い、自立生活のサポートを行うものとする。

また、地域包括支援センター職員や保健師、かかりつけ医、認知症サポート医、認知症専門医、介護事業者との連携を常に意識し、情報が共有できる仕組みを確保していく。

 認知症初期集中支援チーム員の構成

認知症初期集中支援チーム員(以下「チーム員」という。)は、次の(ア)を満たす専門職2名以上、(イ)を満たす専門医1名の計3名以上の専門職にて編成する。

(ア) 次の要件を全て満たすもの2名以上

・「保健師、看護師、作業療法士、歯科衛生士、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士」等の医療保健福祉に関する国家資格を有する者

・認知症ケア実務3年以上又は在宅ケア実務経験3年以上を有する者

・国が別途定める「認知症初期集中支援チーム員研修」を受講し、必要な知識、技能を習得するものとする。

(イ) 日本老年精神学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師(認知症相談医として物忘れ外来を掲げ、認知症の診断や治療等の臨床経験を有し、国が認めたものを含む。)のいずれかに該当し、かつ、認知症サポート医である医師1名とする。

ただし、上記医師の確保が困難な場合には、当分の間、以下の医師も認めることとする。

(ウ) 老年精神学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師であって、今後5年間で認知症サポート医研修を受講する予定のあるもの

(エ) 認知症サポート医であって、認知症疾患の診断・治療に5年以上従事した経験を有するもの(認知症疾患医療センター等の専門医と連携を図っている場合に限る。)

 チーム員の役割

(ア)を満たす専門職は、訪問支援対象者の認知症の包括的観察・評価に基づく初期集中支援を行うために訪問活動等を、地区担当の地域包括支援センターと連携して行う。

(イ)を満たす医師は、他のチーム員をバックアップし、認知症に関して専門的見識から指導・助言等を行う。また、必要に応じてチーム員とともに訪問し相談に応じる。

なお、初回の観察・評価の訪問は原則として医療系専門職と介護系専門職各1名以上の計2名以上で訪問し、初回訪問の観察・評価票の記入は、医療系専門職が行う。

 認知症初期集中支援チーム検討委員会の設置等

(ア) 医療・保健・福祉に関わる関係者等から構成される「認知症初期集中支援チーム検討委員会(以下「検討委員会」という。)を設置し、検討委員会が関係機関・団体と一体的に事業を推進していくための合意が得られるようにしていく。

(イ) 支援チームと医療関係者との連携を図るため、認知症疾患医療センターや医師会との協議、主治医(かかりつけ医)に対する情報の共有化に向けたツールの作成やそれを用いた地域の連携システムの構築を図る。

(ウ) 町は、認知症初期集中支援推進事業の評価を行う。

(エ) 支援チームは、各町で開催される評価検討会議等に参加協力するものとする。

(2) 訪問支援対象者

訪問支援対象者は、原則として4町に住民基本台帳に記録している40歳以上で、在宅で生活している認知症が疑われる人又は認知症の人で、次のいずれかの基準に該当するものとする。

 医療サービス、介護サービスを受けていない者、又は中断している者で次のいずれかに該当するもの。

(ア) 認知症疾患の臨床診断を受けていない者

(イ) 持続的な医療サービスを受けていない者

(ウ) 適切な介護サービスに結びついていない者

(エ) 介護サービスが中断している者

 医療サービス、介護サービスを受けているが、認知症の行動・心理症状が顕著なため、対応に苦慮している者。ただし、訪問支援対象者がこの条件に偏らないように留意する。

 訪問支援対象者には、地区担当の地域包括支援センターと連携して支えを行うものとする。

(3) 事業の実施内容

 支援チームに関する普及啓発

地域住民や関係機関・団体に対し、支援チームの役割や機能について広報活動や協力依頼を行う。

 認知症初期集中支援の実施

(ア) 訪問支援対象者の把握

(イ) 情報収集及び観察・評価

本人のほか、家族などの協力者の同席を調整し、本人の現病歴、既往歴、生活情報等に加え家族の状況などを情報収集する。

(ウ) 初回訪問

初回訪問時に認知症の包括的観察・評価、基本的な認知症に関する正しい情報の提供、専門医療機関への受診や介護保険サービスの利用の効果に関する説明及び訪問支援対象者やその家族の心理的サポートや助言等を行う。

(エ) 専門医を含めたチーム員会議の開催

初回訪問後、訪問対象者ごとに観察・評価内容を総合的に確認し、支援方針、支援内容、支援頻度等を検討するための会議を行う。必要に応じて、支援対象者のかかりつけ医、介護支援専門員、関係課職員等の参加も依頼する。

(オ) 初期集中支援の実施

医療機関への受診が必要な場合の動機づけや継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援、介護サービスの利用等の勧奨・誘導、認知症の重症度に応じた助言、身体を整えるケア、生活環境の改善などの支援を行う。

(カ) 引継ぎ後のモニタリング

初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、地域包括支援センターの地区担当や介護支援専門員等と同行訪問を行う等の引継ぎを実施

引継ぎの6か月後に、サービスの利用状況などを評価し、必要性を判断の上、随時モニタリングを行う。

 認知症初期集中支援チーム評価会議の設置

4町は、医療・保健・福祉に関わる関係者等から構成される「認知症初期集中支援チーム評価委員会を設置し、支援チームでの活動状況等を共有化すると共に、認知症初期集中支援推進事業について評価検討する。また支援チームは、各町で開催される評価会議に参加すること。

(実績報告)

第4条 支援チームは、4町が定める様式により、実績報告を行うものとする。

(個人情報の取扱い)

第5条 チーム員は、本事業に関して収集した個人情報については、個人情報保護法の定めに従い、訪問支援対象者及び対象者世帯の個人情報やプライバシーの尊重、保護に万全を期すものとし、正当な理由がなくその業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(その他)

第6条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める。

この要綱は、平成28年4月1日から施行する。

認知症初期集中支援推進事業実施要綱

平成28年4月1日 訓令第15号

(平成28年4月1日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉/第3節 老人福祉
沿革情報
平成28年4月1日 訓令第15号